野菜の卸売価格が昨秋から低迷し、生産農家の間に危機感が強まっている。農林水産省九州農政局(熊本市)は、根菜や葉物を中心に2月も平年価格を下回る状態が続くとみる。農政局はコロナ禍による一時的な需要減を要因に挙げるが、背景を探ると、夏場に相次ぐ大雨や消費者の行動変化が浮かび、専門家は「価格低迷の固定化」に警鐘を鳴らす。
九州農政局は1月31日、2月の卸売価格の見通しを発表した。調査対象の福岡市中央卸売市場では、白菜や青ネギなど指定野菜15品目のうち、9品目で平年を6%以上下回る見込みという。
要因について、担当者は新型コロナウイルス「第6波」の影響を指摘する。「飲食店などの休業で業務需要が急速に落ち込んだことが大きい」。たしかに感染が急拡大した1月上旬には、大根やキャベツは平年比の6割台にまで価格が落ち込んだ。
ただ、15品目のうち7品目は昨年10月半ば以降、感染が比較的落ち着いていた年末も価格が平年以下のままだった。コロナ禍だけでは説明がつかない価格低迷の要因を探りに1月末、福岡県の一大農産地、糸島市を訪ねた。
玄界灘へ抜ける山の裾野に…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル