店頭でよく見かける長芋。長芋の産地は北海道、青森県が圧倒的で、この2道県で全国の生産量の8割以上を占めています。産地が寒冷地域の長芋は、旬に特徴があるそうです。詳しい話を、青森県で長芋の加工・販売を手掛ける材(ざい)株式会社の赤石さんに伺いました。
寒冷地の長芋は旬が2回
長芋の本来の旬は晩秋で、秋を迎えて葉が自然に枯れてから掘り出すそうです。
「晩秋が1回目の旬で、『秋掘り』といいます。そして、その時期に掘り出さずにそのまま越冬させて、4~5月に掘り出すものもあります。これが2回目の旬の『春掘り』です」(赤石さん)
ただし、2回の旬を迎えられる地域は限定的だといいます。
「長芋は地温が下がると休眠して追熟する性質があります。そのため、冬でも地温があまり下がらない温暖な地域だと休眠できません。逆に、土が凍ってしまうほど寒い地域だと芋も凍ってしまうので、土中に置いておくことができないのです。この点、青森県南部は長芋が休眠できるちょうど良い地温の地域なので、晩秋に掘り出さずに越冬させることができ、旬が2回になるのです」(赤石さん)
春掘り、秋掘りの味の違いは
春に収穫された長芋と秋に収穫された長芋では、味などに違いはあるのでしょうか。
「4~5月が旬の春掘りものは1~2℃の低温の土中で休眠状態になっていて、休眠により追熟が進み、デンプンが糖質へと変化します。そのため、旨みや甘みなどの成分が凝縮され濃厚な味となり、ねばりも強めです。これに対し、11月下旬~翌年2月が旬の秋掘りものは、まさに掘りたての新物で、皮が薄く、アクも少なくとてもみずみずしいのが特長で、歯ざわりもシャキシャキとしています」(赤石さん)
春掘り長芋は、熟成された甘みやコクが味わえるので、すりおろしてトロロやてんぷらなどに向き、秋掘りのものは細切りにしてそのまま生で、また浅漬けなどに向いているそうです。
どちらの旬の長芋の方がおいしく感じるかは人の好みの違いだとか。今の時期ならではの春掘りを味わってみて、晩秋の秋掘りとの味の違いを感じられると楽しいですね。
ウェザーニュース
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