長野・善光寺の「びんずる尊者像」盗んだ疑い、男を逮捕 像も確保

清水大輔

 長野県警長野中央署によると5日午前8時ごろ、長野市善光寺本堂にある木像「びんずる尊者像」が盗まれた。同県警の捜査で同県松本市に運び去られたことがわかり、同日昼前に同市内で容疑者の男を窃盗の疑いで逮捕した。尊者像も確保したという。

 びんずる尊者像は300年以上前に作られた木製の座像で、善光寺本堂に入ってすぐの外陣(げじん)に置かれ、「おびんずるさま」と親しまれてきた。関係者によるとこの日朝、何者かが尊者像を袋に入れて運び去るところが防犯カメラに映っていたという。

 尊者像は釈迦の弟子の一人の像で、患部と同じ所をなでると病気が治ると信仰されていた。300年以上、参拝客からなでられ続けた結果、目や鼻はすり減って、つるつるになっていた。例年の正月行事ではその年の無病息災を願う「びんずる回し」が行われてきた。

 前日の4日夕方に善光寺を訪れたという長野市内の男性(42)は「参拝のたびに家族の健康を祈って必ずなでてきた。盗まれたのだとしたら、残念」と話した。(清水大輔)

 びんずる尊者像は、長野市民からは「びんずるさん」と親しまれている。善光寺のホームページによると、病気を治す力があるとされ、なでるとその部位の病気が治るという信仰があり、「撫仏(なでぼとけ)」とも言われている。ミシュランガイドでは、びんずる像は「三つ星」の評価を得ていた。

 寺では、毎年1月6日の夜、びんずる像を台座ごと引き回す「びんずる廻(まわ)し」という行事もある。また、びんずる像の300歳を祝って、2013年に境内で手作り市「善光寺びんずる市」が始まった。1971年から始まった祭り「長野びんずる」は、地元の夏の風物詩として定着している。

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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