開校から70年以上も保健室に職員がいなかった埼玉朝鮮初中級学校(さいたま市大宮区)に昨年4月、初めて「保健室の先生」が来た。看護師の裵佳音(ぺかのん)さん(30)。在日朝鮮人の夫がいる日本人で、長男も同じ時期に同校へ通い始めた。子どもたちと触れ合った1年を振り返り、「身近にいて、何でも話を聞けるような存在になりたい」と話す。
裵さんは県内で公立の小学校、私立の中高に通って育った。小学生のころ、独りぼっちで不安な思いで入院していた時に、そばで話をして心の支えになってくれた看護師がいた。これをきっかけに目指すようになり、高校卒業後、専門学校を出て看護師になった。その後、朝鮮半島にルーツがある在日朝鮮人3世の夫と結婚した。
昨年初め、春から長男を日本の小学校に通わせるか、朝鮮学校にするかを迷っていた。朝鮮学校は自宅から遠く、公立校に比べて自治体からの財政支援が乏しいため学費も高い。それでも、「父のルーツを大切にして欲しい」と民族教育を受けることができる朝鮮学校に通わせることにした。
朝鮮学校は学校教育法で、自動車学校などと同じ「各種学校」に位置づけられる。そのため教育委員会から養護教諭が派遣されず、学校医もつかない。
「半分倉庫のような薄暗い部屋で…」
息子の入学が決まると、鄭勇…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル