選挙の開票作業が毎回遅いことで知られる奈良市。そもそも、選挙管理委員会は有権者に早く正確に結果を伝えるのが使命。「改革」を掲げ今回の参院選に臨んだ奈良市選管。結果はどうだったのか。
「迅速さよりも正確さ」。市選管は従来、そう訴えてきた。背景には1992年参院選の「傷痕」がある。票の数え直しが生じ、開票結果の確定は選挙区が翌日午前8時5分、比例区が同9時52分と作業時間は計約14時間半に及んだ。市選管は以降、すべての票を目視で2回点検し、分類機の導入後もこれを続けてきた。
「正確さ」重視、効率は二の次
「正確さ」を重視するあまり、効率は二の次になってきた。
昨秋の衆院選。奈良市の小選挙区は1、2区にまたがる。うち1区の比例約18万票をのべ180人近くで開票した。確定したのは約7時間後の翌日午前4時46分。2019年参院選は比例区の確定が翌日午前4時22分で、17年市議選の確定は翌日午前5時49分と、21世紀に入っても低調な記録が続いている。
全国的にみても遅い。開票事務を調査する早稲田大マニフェスト研究所の統計によると、14年衆院選では、奈良市1区域(約16万8千票)は確定までに4時間かかり、所要時間のランキングは全国市区の931投票区(当時、未回答の東京都、大阪府を除く)中853位だった。
順位は突発的なトラブルなどで変動しやすいが、「常に遅い」のが奈良市の傾向だ。
時間をいくらでもかけて良い訳はない。開票作業が長引くほど、時間外勤務手当に使われる税金が多くなる。また、翌日も通常通り出勤する職員もいる。明け方までの作業を終えた数時間後には、十分な休息が取れないまま業務を始めなければならない。
「意識改革を」市選管が宣言
市選管の小橋勇・事務局長は今回の参院選に際し、「全体の意識改革を」と宣言。市選管は、選挙区の終了目標を11日午前0時、比例区を同1時と掲げた。具体的な効率化策として、これまで手作業で仕分けていた比例区の個人票を機械で読み取ることに。目視での確認は従来の2回から1回に減らすことにした。
改革を宣言して臨んだ参院選。開票作業は比較的順調に進みました。しかし、思わぬ落とし穴が……。記事後半で詳しく紹介します。
■本気度をアピール…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル