食料・農業・農村基本計画の見直しへ、自民党は5日、農業基本政策検討委員会(小野寺五典委員長)の会合を開き、「地域政策」の方向性を議論した。集落の維持や人材の確保に向けて、外部人材への支援充実などを求める意見が相次いだ。同委員会顧問を務める宮腰光寛前沖縄北方相は、さまざまな形で地域と関わる「関係人口」の目標値を設定し、国を挙げて支援する必要があるとの認識を示した。
宮腰氏は「関係人口をどう増やしていくかが、これからの農山漁村にとって大事だ」と強調。新たな基本計画では「KPI(重要業績評価指標)の一つに関係人口を入れて、しっかり後押ししていく。組織的に推進していく形が必要ではないか」と強調した。
政府資料によると、2050年には全国の半分以上の地域で人口が半減すると推測されている。特に農村の高齢化率は都市部に比べて高く「機能の維持が困難な集落が今後増加する恐れがある」(農水省農村振興局)。
農水省は、基本計画の見直しに向けて、小規模農家や農家ではない住民、移住者なども含めた「多様な人々」の重要性に着目。その人々が「農村で暮らしていくための所得と雇用機会を確保できる環境づくりが必要」との方向性を示している。
会合では、担い手確保や集落の維持へ、明確な目標設定と具体策を求める意見が相次いだ。
野村哲郎農林部会長は「単発の政策ではなく、全国で集落を維持するにはどんな金が必要か、どう人を育てればいいか」との観点を提起。「一律の対応ではいけないが、散らばっている施策をまとめて実証事業的にできないか検討してほしい」と訴え、体系的な農村政策の構築を求めた。
日本農業新聞
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