関西電力が東日本大震災後にカットした役員報酬を補填(ほてん)した問題をめぐり、関電は27日、大阪国税局の税務調査を受け、2019年3月期までの3年間で約1億9800万円の所得隠しを指摘されたと発表した。国税当局は、役員報酬の減額分を退任後の「嘱託報酬」と仮装して補填していたと認定。経費としての計上は認められないとし、重加算税の対象とした。
関電をめぐっては、元役員らが福井県高浜町の元助役・森山栄治氏(19年に死去)らから総額約3億7千万円の金品を受け取っていた問題が19年に発覚。役員報酬の補填についても、関電のコンプライアンス委員会が昨年に出した調査報告書が、16~19年に役員ら18人に相談役や嘱託を委嘱する形で計約2億6千万円を支払ったと指摘していた。
関電によると、大阪国税局は、18人のうち、森詳介元会長ら11人の役員報酬の補填分として約1億9800万円が更正処分の対象になったと指摘。本来は役員の退職金とみなすべき給与を嘱託報酬に仮装していたとして、所得隠しにあたると判断したという。重加算税約700万円を含む法人税の追徴課税額は計約3100万円に及んだとみられる。
役員報酬の補填問題では、市民団体が元役員らを会社法の特別背任などの疑いで大阪地検特捜部に刑事告発。特捜部が告発を受理し、捜査を進めている。
大阪国税局は、金品受領問題にからみ、関電が全額出資する子会社の「関電プラント」が森山氏に支払っていた顧問報酬約900万円についても、実態は「交際費」にあたるとし、申告漏れを指摘した。追徴課税額は約100万円とみられる。
関電によると、27日午前に大阪国税局から更正通知を受け取ったという。同社は「更正処分を踏まえ、本日納税した。今後も関係法令に従って適切に対処する」とコメントした。(徳永猛城、室矢英樹)
記事の後半では、補填を受けていた元役員当人への取材内容や、一連の問題の経緯を報告します。
■金品受領と報酬補填の問題…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル