33日間だけの「幻の駅」が、大阪府吹田市にかつてあった。その駅は、阪急京都線について書かれた数冊の本に登場する。一体、どこにあったのか――。
ある男性が、この謎に迫った。阪急京都線沿線にある京都府大山崎町で生まれ育った、林宏祐さん(32)。本職は、フリーでコンベンション運営の仕事をしている。そして、阪急京都線をかつて運行していた「新京阪鉄道」にひかれ、「新京阪電車研究家」と名乗っている。
林さんがずっと気になっていたという幻の駅。それは「吹田観音前駅」だ。
書物を調べると、ある本には、臨時駅として「上新庄―相川間に設けられた」と書いてあった。
ただ、阪急京都線の上新庄駅と相川駅は、いずれも大阪市東淀川区で、吹田市ではない。
さらに駅間は1キロほどと短い。この距離で臨時駅を設けるだろうか。
深まる謎。林さんは東京の国立公文書館まで行き、臨時駅設置の届け出書類を確かめることにした。
新京阪鉄道の書類を片っ端から見た。
見つけた――。「吹田観音前駅」の届け出だ。
1941(昭和16)年のものだった。
設置は3月10日から4月1…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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