先輩が利用する阪急電車への一礼、先輩の前での決まった表情、先輩への過度な提出物――。タカラジェンヌを養成する宝塚音楽学校(兵庫県宝塚市)が、生徒間に受け継がれてきた不文律をなくした。上級生が下級生を一対一で指導する「伝統」もあったが、下級生に負担が生じていたとして廃止に踏み切った。
舞台人を目指す同校の生徒としての姿勢や規律を、先輩が後輩へ教え伝えてきたが、近年、部活動などでの行きすぎた指導や、ハラスメント(嫌がらせ)に対する社会の目は厳しくなっている。
今回の見直しについて木場(こば)健之(けんし)副校長は「子どもたちの気質も変わっており、生徒の自主性を尊重しつつ、時代にあわせて改善を進めている」としている。
宝塚音楽学校は2年制で各学年に40人在籍する。上級生は「本科生」、下級生は「予科生」と呼ばれる。
予科生は朝の校内掃除が日課となっており、個々の予科生が掃除場所を分担。前年の担当者だった本科生が一対一で掃除方法から生活態度まで指導してきた。
しかし、数年前に体を壊した予科生がおり、学校側が調べたところ、予科生の一部に、過度な提出物が課せられていたことがわかった。5年ほど前から、予科生が掃除方法や学校生活に関する質問などをノートに記して本科生に提出する慣習ができていたという。書く量が多いほど評価される面もあり、睡眠時間を削ってノートを書いていた予科生もいたという。
学校側は上級生の指導に行き過ぎたところがあったとして、このノートをやめさせ、寮内での午前0時消灯を徹底。一対一の指導も昨年春に廃止した。校内掃除は、一人ひとりに場所を割り当てるのではなく、グループで担当する方法に変えたという。
先輩の前で作っていた表情も
木場副校長は「一対一で絆を深…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル