南海トラフの巨大地震が起きると、揺れだけでなく、津波によって東海地方の沿岸に大きな被害が出ると考えられている。その津波の威力を抑える要は、「海」での対策だ。
2月初旬、愛知県弥富市の南端の海岸を訪れた。コンテナ置き場などを通り過ぎ、伊勢湾に突き出す岸壁に着いた。海の中には「高潮防波堤」が立ち、まっすぐ沖に続いている。防波堤の上部は、かさ上げされた岸壁とほぼ同じ高さだ。
この防波堤は、1959(昭和34)年9月に名古屋港で3・89メートルの高潮を観測した伊勢湾台風を受け、その5年後につくられた。全長約7・6キロメートル。船の出入りのため2カ所で途切れているが、人工島を挟んで、弥富市と対岸の同県知多市を直線状に結ぶ。
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完成当時、防波堤は最も高いところで海面から6・5メートル。この壁で高潮によって押し寄せる波を弱め、港内の潮位を約3割低くできると期待された。高潮だけでなく、津波にも対応できるというが、港の防災設備を管理する名古屋港管理組合の担当者は「やっかいなのは地震の揺れ」と言う。
防波堤は海底の砂の上に立つ。…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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