松岡大将、藤原慎一
政府が安全保障上の要衝と位置づける九州で、防衛政策をめぐる「混乱」が相次いでいる。地域とのパイプ役を担う防衛省九州防衛局(福岡市)の不手際が、住民や自治体の不信や反発を招いているからだ。足元の混乱は、自衛隊の配備計画を揺るがす事態になりつつある。
今年3月、有明海を望む佐賀空港近くの漁協支所を、九州防衛局の広瀬律子局長がお忍びで訪れた。地元漁師らを前に広瀬氏は、空港西側に陸上自衛隊の駐屯地を造り、輸送機オスプレイを配備する計画について説明を始めた。
「南川副と防衛省の関係は特別」「最も影響を受ける南川副から優先的に検討する。他の支所とは違う」。説明会の出席者は、広瀬氏がこう強調したことを覚えている。
南川副とは、駐屯地の建設予定地の地権者が所属する佐賀県有明海漁協の4支所の一つ。地権者が最も多い南川副支所だけに防衛局は、3月24~26日の3日連続で説明会を開くと、その中で非公表の土地の買収額について「1平方メートルの上限は4350円」と漏らした。
全国一の産地を誇るノリ漁のまっただ中に開かれた会合は約束違反だった。
4支所は昨年10月、ノリの漁期が明ける今春以降に説明会を開くと防衛局と合意しており、南川副以外の3支所は猛反発。南川副の組合員で配備に反対する地権者の古賀初次さん(72)も「南川副支所だけに説明会を開くのは、アメ玉で漁民を分断するやり方だ」と批判する。
防衛局の勇み足は、「数字が…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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