天皇陛下はこの1年、地方訪問の際に発表する「ご感想」を復活したり、交流の輪に自ら歩み寄ったり、独自の姿勢がみられた一方、上皇さまと同様、災害などで苦しい立場にある人々に寄り添われてきた。体調を整えながら同行される皇后さまとともに、令和の象徴としての歩みを続けられている。
令和元年6月1日、即位後初の地方訪問となった愛知県では、気温が高い中、天皇、皇后両陛下のご到着を歓迎する人々の列が歩道を埋めた。「水分をとって日陰に入って、ご体調を崩されないように」。陛下は沿道で長時間待つ人々に、県警を通じて呼びかけられた。その日の側近の記者会見で発表された「ご感想」でも「日差しが強く暑い中、大変多くの県民のみなさんに温かく迎えていただき感謝いたします」と重ねて謝意を示された。
地方訪問時の「ご感想」は、上皇さまが平成15年に47都道府県を一巡されたのを区切りとしてとりやめられたが、陛下は皇太子時代も感想を出しており、即位後も継続されている。
地方訪問時に地元関係者と懇談されるレセプションの場でも独自色がみられた。関係者側が順番に入れ替わる形で言葉を交わされていた上皇ご夫妻とは異なり、両陛下は毎回、自ら人々の輪に入って歓談に加わられた。「多くの人々と触れ合い、直接話を聞く機会を大切にしていきたい」(今年2月の陛下の誕生日会見)との考えを実践されている。
病気療養中の皇后さまは即位関連儀式とともに全ての地方訪問にご同行。代替わり前は地方でのレセプションへの出席を控えることも多かったが「行事の重要性を考え、体調を整えて出席されている」(側近)という。
一方、昨年末に台風19号の被災地である福島県本宮市と宮城県丸森町を慰問した際には、上皇ご夫妻と同様、時間をかけて声をかけられた。丸森町の応急仮設住宅の集会場では、両陛下が途中から二手に分かれ膝を曲げ、椅子に座る被災者の目線に合わせて激励された。限られた時間で多くの人を励ますために上皇ご夫妻がされてきた手法を両陛下も受け継がれている。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース