11日に開かれた東日本大震災の10年追悼式。天皇陛下が述べた「おことば」について、名古屋大の河西秀哉准教授は「平成を踏襲しつつも、『皇后とともに、今後も被災地に寄り添っていく』という、令和の天皇の決意表明のように感じる」と話す。
震災5年の追悼式で、上皇さまが述べたおことばと比較して、河西さんは「かなり全体の分量が多い」と指摘。その理由として、コロナ禍で行幸啓や被災地訪問ができず、国民とふれあう機会が持てていないことから、「伝えたいことや考えをしっかり詰め込んだのでは」とみる。
河西さんによると、今回のおことばの冒頭は、5年前の上皇さまのおことばを継承している表現が目立ったが、①2度にわたって登場する「皇后と共に」②「震災は過去のことでなく現在も続いている」③「歴史を振り返ると、巨大な自然災害は何度も発生している」――の三つが天皇陛下らしいフレーズだと感じたという。
河西准教授は「皇后とともに、というのは即位の時から貫いている姿勢。そのほか、歴史や記録についての言及や、被災地に心を寄せ続けることは、これまでの会見や発言でも触れている。今回のおことばは、今の天皇の考え方が凝縮されているとも言えるものだ」と話す。(聞き手 杉浦達朗)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル