東京電力福島第一原発事故で避難した地域の除染が、曲がり角に差し掛かっている。政府は避難指示の解除に、除染を不要にする方式も導入する。地元が除染を求めれば立ち入り制限が続き「地域の分断」は解消されない。除染か解除か。地元に厳しい選択を強いることになりかねない。
政府が「除染不要」の検討を始めたきっかけは、今年2月。原発から北西約40キロの飯舘村が政府に出した要望書だった。村の南部、長泥(ながどろ)地区を帰還困難区域とする避難指示を、2023年に一斉に解除してほしいという内容だった。
国の計画では、同地区の17%を「特定復興再生拠点」に認定し、そこだけ除染して23年に解除する。8割超の「拠点外」は解除の見通しがない。この線引きで地域に新たな分断が生じかねなかった。要望書では「ふるさとのつながりの象徴となる復興公園を拠点外に整備したい」と訴えた。
そもそもの原因は除染の遅れ
要望に先駆け、村は拠点外の11世帯に帰還の意思がないことを確認。放射線量は事故直後は年50ミリシーベルト超だったが、いまは国の避難基準の20ミリをほぼ下回っていることも伝えた。政府関係者は「除染はしなくていい、という意味だった」と受け止めた。村は少しでも復興を進めるため、そうするしかなかった。
厳しい選択をさせたそもそもの…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル