陸からは近づけない崖下の海岸にあるゴミを、船で上陸して拾い集める団体が愛媛県にある。関係者が初めて、九州北部や山口南部を船で回り、ゴミがたまっている場所を確認した。
岩田功次さん(60)が望遠レンズ付きカメラを構えた。土屋年広さん(43)が船を海岸へと寄せていく。6月下旬、記者も船に乗せてもらって同行した。
福岡県新宮町の相島(あいのしま)。長く続く海岸に沿うように、ゴミが1列にたまっている。発泡スチロール、ロープ……。
岩田さんは「大潮の満潮の潮位に沿ってゴミがたまる。台風で奥まで飛ばされると、もう波で動くことはない」と言いながら、写真を撮っていく。
土屋さんは「野積みされたゴミが、台風などで海に出ていっている」と解説する。
愛媛県八幡浜市が拠点のE.Cオーシャンズ。岩田さんは、その代表理事を務める。20代後半から、地元の海岸を観察しゴミ拾いをする活動などに携わってきた。2016年春、人が寄りつかないような地元の海岸に大量のゴミがあるのを見たことが転機になった。
船でしか行けないような海岸にはゴミが大量にたまっているに違いない。こうしたゴミを拾うことを専門にする団体を立ち上げた。
Eはアース、Cはクリーン。地球を、海をきれいに、という思いが込められている。オーシャンズの頭文字「O」とつなげばECO(エコ)になる。地元の高校生が名付けてくれた。
大分―和歌山の瀬戸内海沿岸や島々で、ゴミがたまった海岸1千カ所以上を土屋さんらと確認。これまで50カ所に船で上陸し、ゴミを回収してきた。
そして今回、九州北部への初調査になった。船は進み北九州市の藍島(あいのしま)まで来た。崖下の海岸にはやはりゴミがたまっている。驚くことに、崖の途中にもゴミのようなものが散乱している。不法投棄なのだろうか?
山口県に入った。潮目だ。海…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル