再生可能エネルギー推進で陸上風力発電事業の計画が増えている。自然環境に影響があるとして住民や首長から反対の声もあるが、地元との共生を重視する事業者もある。地球温暖化対策を急ぎつつ地域の自然環境をどう守るか。模索が続く。
日本最大級の樹氷が広がる八甲田山系。青森市など6市町に最大150基の風車を建設する計画がある。陸上風力発電のみちのく風力発電事業だ。
深い森を抜けて風車建設予定地の尾根に登ると、幹回り3メートル超、推定樹齢約300年のブナの巨木が並ぶ。調査した日本自然保護協会の若松伸彦博士(植生学)は「原生的な森が広がり守るべき場所だ」、青森市の山ガイド・川崎恭子さんは「八甲田山は青森の宝。温暖化対策で森林を大規模に伐採するのはおかしい」と話す。
川崎さんらは中止を求める署名を集めた。青森県の三村申吾知事は「再エネなら何をやってもいいわけではない」と発言。地元の平内町長や七戸町長に続き、今月2日に青森市長も反対を表明した。
これに対し、事業者のユーラスエナジーホールディングス(本社・東京都港区)の秋吉優副社長は立地について「風況の良さが最大の理由」と話す。ただ「これまで周知できていなかった。自然環境への影響を最小限で進められるよう皆さんの意見を聞きながらまとめていきたい」と住民説明会を開くことを決め、事業計画の縮小案を示す意向だ。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル