皇后雅子さまは9日、57歳の誕生日を迎えた。これに先立ち、宮内庁を通じて文書で所感を公表。新型コロナウイルスの感染が続く困難な状況を思い、「国民のお一人お一人が、幸せであっていただきたいかけがえのない存在であるということを身にしみて感じます」とつづった。例年、誕生日当日は祝賀行事が催されるが、コロナ禍で今年は取りやめる。
この1年については「特に命の大切さ、尊さについて改めて深く思いを寄せる年」になったと振り返った。日夜献身的に力を尽くしている医療従事者に敬意と感謝の意を表したうえで、誰もが「お互いへの思いやりを忘れずに、困難に見舞われている人々に手を差し伸べつつ、力を合わせてこの試練を乗り越えていく」ことを願うと記した。
また、新型コロナの影響で多くの行事が延期を余儀なくされていることを踏まえ、「多くの国民の皆様と直接触れ合うことが難しくなっていることを残念に思います」と明かした。今年11月からオンラインによる活動を本格化させたが、「触れ合いの機会を持てることはありがたく、今後ともそのような機会を大切にしていくことができれば」とつづった。
うれしいニュースとしては、小惑星探査機「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」の砂が入っているとみられるカプセルを回収したことを挙げ、新たな科学の扉が開かれることを楽しみにしているという。
宮内庁によると、雅子さまの活動はコロナ禍の影響を受け、赴任大使らとお茶を共にする機会が昨年の12件から3件になるなど大きく減った。一方、専門家から話を聞く進講や面会などの件数は昨年の13件から29件に増えた。そのうち、感染症に関連するものは16件だった。
誕生日に寄せて、雅子さまの適応障害の治療を続けている医師団は「見解」を公表。新型コロナの影響で活動が制限され、体調が整いにくくなっている、と指摘した。依然として体調には波があり、過剰な期待を持たれることは「逆効果となり得る」とした。引き続き、私的な部分でも活動の幅を広げることが大切としている。(長谷文)
所感全文「世界中が災厄 心の痛む年」
皇后雅子さまが9日、57歳の誕生日を迎えた。宮内庁を通じて文書で所感を公表した。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル