離婚したら父母のどちらかしか子どもの親権を持てない民法の「単独親権制度」は、法の下の平等を定める憲法に反するなどとして、東京都の50代男性が165万円の賠償を国に求めた訴訟の判決が17日、東京地裁(松本真裁判長)であった。判決は民法の規定を合憲と判断し、原告の訴えを退けた。原告は2019年の離婚で息子2人の親権を失ったことに精神的苦痛を負ったと訴えていた。
判決は、親子の交流を通じて子どもが成長したり親の人格が発展したりすることについて、「親権を持たないとしても親と子であることに変わりはなく、そうした人格的利益は失われない」と指摘。その上で、単独親権制度は父母関係が良好でない場合も踏まえた合理的なものとし、憲法に反すると言えないとした。
離婚後も父母双方が親権を持つ「共同親権」を認めるかについては、「国会の裁量権に委ね、その行使を待つ段階」と述べた。
共同親権を含めた離婚後の子どもの養育のあり方をめぐっては、上川陽子法相が10日に法制審議会に諮問し議論が始まるが、結論が出るまでの期間は定まっていない。東京地裁では、共同親権や面会交流制度の整備を国に求める集団訴訟が相次いでいる。(新屋絵理)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル