雨ざらしの裸婦像は泣いていた パブリックアートの管理、考えた1年

 35年前に四国のとある市役所前に設置されたはずの裸婦像が、専門学校の中庭で見つかった――。

 年明け、取材先からの知らせに驚いた。いったい何が起きているのか、見当も付かなかった。

 校内に入れてもらうと、ツツジの植え込みの中に「彼女」は横たわっていた。肩辺りの髪に触れる姿が、頰の涙をぬぐっているようにも見えた。

 香川県丸亀市の大西康彦さん(80)の彫刻作品「テラ・大地」。取材を進めていく中で分かったのは、市役所から消えたあとは場所を転々とし、「裸体がその場にふさわしくない」という理由で、最終的に植え込みの中に置かれたようだった。大西さんはこの経緯を、作品が見つかるまで全く知らなかったという。

 街中を見回すと、裸婦像が点在することに気付く。彫刻家の小田原のどかさんによると、各地にあった軍人像が戦後、平和の象徴として裸婦像へと置き換わり、さらに町の美化といった目的で設置されていったという。裸婦が多いのは、それらを手がけた彫刻家のほとんどが男性ということも起因すると見ている。

街を彩る作品、設置して終わりではない

 失踪から発見までの経緯をま…

この記事は有料記事です。残り587文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment