全国各地で異常な気温高が続き、記録的な雪不足に見舞われている。北海道では例年雪の下で越冬する醸造用ブドウや小麦が地表に出てしまい凍害などが心配されている。気温は全国の広い範囲で平年に比べて高く、雪は平年比1割以下の豪雪地帯も少なくない。気象庁によると、気温高と少雪は今後も続く見通しで、深刻な影響が及ぶ地域も出てくる恐れがある。(川崎勇、望月悠希)
北海道
北海道内有数の醸造用ブドウ産地、岩見沢市で醸造用ブドウを1・5ヘクタール栽培するガットラブ亮子さん(50)は「こんなに雪が少ないのは初めて。凍害や野ウサギの食害が心配だ」と話す。
道内では寒さからブドウを守るため、枝を束ねて土の上に寝かせ雪の中で木を越冬させる。だが同市の積雪量は12日時点で例年の2割の19センチ。枝が至る所でむき出しになり、凍害を受けて枝の枯死や発芽不良を起こす恐れがあるという。
野ウサギの食害も心配だ。ガットラブさんは枝を長梢(ちょうしょう)に仕立てているが木の芽や皮が食べられ、今春の生育が絶望的な木もある。雪で覆われていないため例年以上に被害が多く、夫のブルースさん(58)は「1メートルほど積もらなければ安心できない」と話す。
国内有数の醸造用ブドウの産地、余市町も12日時点の積雪量が6センチと、例年の10分の1以下。同町で醸造用ブドウを2・5ヘクタール栽培する曽我貴彦さん(48)は「若い木や寒さに弱い品種が心配」と極端な気温の低下を危惧している。 全国屈指の畑作地帯、十勝地方。帯広市の積雪量は12日時点で12センチと例年の2割ほどで、例年なら雪の下で越冬する秋まき小麦や、春作業への影響が懸念されている。
十勝総合振興局によると、畑の積雪は例年20~30センチだが、今年は土が露出している圃場(ほじょう)もあるという。昨年も積雪が少なかったが、春以降の天候が順調で小麦の生育は回復した。同振興局は「今年は昨年以上に雪が少ない。適度な積雪が必要」(農務課)と訴える。
牧草も積雪が少なく凍結の心配が出てきた。根室農業改良普及センターは6日、別海町や根室市の6カ所で土壌凍結の深さを調べた。その結果、深さは20~30センチほどで、例年の2倍近くに上ることが分かった。
凍結が進むと牧草の根が切れたり、浮き上がったりするリスクが高まる。今後の生育や収量に影響する可能性があり、酪農家も心配する。同センターは「影響が分かるのは春先。種をまき直す必要が出てくるかもしれない」と話す。
雪解け水が減ってダムやため池の貯水量が少なくなる恐れもある。岩見沢市上幌地区で水稲74ヘクタールや花きを栽培する中西洋一さん(61)は「30年近く営農しているが、年明けまで雪が少ないのは初めてだ。山の雪も少ないようで、水が持つか心配だ」と不安視する。
同地区は、幌向ダムの水を水稲や花き栽培などで使う。昨年も積雪が少なかったが、水稲栽培で水が必要な7月中まで「ぎりぎり持った」(中西さん)状態だった。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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