雪道歩き、妻の目薬探す 部屋の壁に津波の痕「帰りたい、けど無理」

 能登半島地震で住宅の多くが浸水被害を受けた、石川県珠洲市宝立町。

 8日、春日野地区に住む江畑秀国さん(79)は、雪で真っ白に染まった道を歩き自宅へ妻の目薬をとりにきた。

 「目薬がないと、うちの(妻)が大変なんですわ」

 津波が襲った1階で、使える物を探す。

 江畑さんは地震発生時、妻(76)と息子(49)と一緒に、海岸から100メートルほどにある自宅にいた。大きな揺れを感じると、すぐに車に乗って海から離れた。自宅に戻ると、1階の家財は全て流され、水につかっていた。壁に残った泥の跡から、津波はひざ上くらいの高さまできたようだ。

 20分ほど探したが、津波で散らかった家から目薬を見つけることはできなかった。

 自宅を出ると、地区を回っている消防隊に、住民の安否を調べたいと声を掛けられた。

 「あそこの家はもう助かっている」。家を指さし、地図と照らし合わせながら、新雪を踏みしめ案内した。

 「早く自分の家に帰りたいですけど、こんなんじゃ無理ですわ」(田辺拓也)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment