東京都内で今月25日、電動キックボードの男性(52)が転倒して死亡する事故があった。男性が乗っていた電動キックボードは国の実証実験の対象で、本来は義務づけられるヘルメットの着用が「任意」とされていた。なぜノーヘルが認められたのか。背景には、事業者側の要望があった。
警視庁の発表によると、男性は25日午後10時45分ごろ、東京都中央区のマンション駐車場内で電動キックボードを運転中に車止めに衝突。前に倒れて頭を強く打ち、その後死亡した。同庁は防犯カメラの映像などから、飲酒運転の可能性があるとみている。電動キックボードが絡む死亡事故は全国初だった。
電動キックボードは街中を手軽に移動できる交通手段として人気が高まっている。市販されている車両の多くは道路交通法上、「原付きバイク」の扱いになり、ヘルメットの着用が義務づけられている。
一方、国の実証実験に基づいて特定の事業者が貸し出す最高時速15キロ以下の電動キックボードについては「小型特殊自動車」に分類されるという。この場合はトラクターなどと同様にヘルメットの着用が任意になる。亡くなった男性は、ヘルメットを着用していなかった。
「着用義務が普及の障害」
実証実験は、電動キックボードのシェアリング事業を進める事業者から規制緩和の要望を受けて経済産業省や警察庁が応じたもので、2020年10月に都内の一部で始まった。当初の緩和策は、車道のみとされていた通行帯を自転車レーンにまで広げるというものだった。
事業者側はその後、「ヘルメ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル