経済産業省の電力・ガス取引監視等委員会(電取委)は9日、東京電力エナジーパートナー(EP)に業務改善勧告を出した。委託先による家庭向けの電力・ガスの電話勧誘業務で、調査した音声データ71件中52件で虚偽の説明を繰り返すなど、電気事業法とガス事業法が定める説明義務に違反する勧誘があったと認定した。東電EPの対応についても厳しく批判した。
東電EPの電話勧誘業務をめぐっては、委託先の「りらいあコミュニケーションズ」(東証1部上場)が2019年3~12月、東電EPに提出した顧客との通話データ71件中44件を改ざん・捏造(ねつぞう)していたと朝日新聞が6月に報道。調査はこれを受けて実施された。
電取委が71件の通話データを調べた結果、うち50件で契約後の電気料金に関する虚偽・不十分な説明があった。また、電話勧誘で契約が成立することを正確に伝えなかった勧誘も7件あった。5件は両方の問題が含まれており、合わせて52件で不当な勧誘があったと認定。勧告では「(顧客が)適切に判断できない状態に置かれる場合、説明義務を果たしていない。事実に反する説明や不十分な説明が継続的に行われた重大な事案だ」とした。
さらに、りらいあ社の不適切な電話勧誘は、「東電EPが承認したトークスクリプト(台本)に起因するものが多く存在する」とも指摘。りらいあ社が改ざんせずに提出した音声の中にも不適切な勧誘が含まれていたことや、東電EPが改ざんを認識した今年1月以降も、顧客に追加的な対応をとらなかった点も「大きな問題」と指摘した。
電取委は1カ月以内に、改善策を文書で報告することを求めた。東電EPは「勧告に適切に対応し、再発防止を徹底します」とのコメントを出した。(北沢拓也)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル