電通過労自死、母親が手記 宝塚にも言及「人権を尊重した経営を」

 広告大手・電通(現電通グループ)の新入社員だった高橋まつりさん(当時24)が過労自殺して、25日で8年となった。母・幸美さんが命日にあわせて手記を公表し、「過重労働やハラスメントが原因で苦しんだり、病気になったり、命を落とす人がいなくなるよう心から願っています」とつづった。

 手記では、神戸市の病院「甲南医療センター」の医師が自殺し、長時間労働による精神疾患が原因として労災認定された事案や、宝塚歌劇団兵庫県宝塚市)の劇団員が亡くなり、遺族側が先輩劇団員らのパワーハラスメント行為などを訴えている事案に触れて「本当に悲しいこと」と言及した。

 そのうえで、「長時間労働が当たり前の医療現場や厳しい上下関係を重んじてきた劇団の文化は、当時の電通の社風が思い起こされてなりません」と指摘。「人としてもビジネスの上でも最も大切なことは、働くすべての人の人権を尊重した経営を行うことです。どうか経営者の方は人権侵害に対して確固たる姿勢で経営を行って欲しい」と訴えた。

 一方、まつりさんが働いていた電通は7月、「ハラスメント撲滅・防止宣言」を発表した。「社員が生き生きと働ける取り組みを継続してくれている」と評価する一方、「会社が変われるチャンスは何度もあったのに、どうしてもっと早くにそのような取り組みを行っていなかったのか本当に悔しくてなりません。社員の健康と命を守り、生き生きと働ける会社であることを願っています」とした。(三浦惇平)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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