大きな拍手が静まると、ピンクのTシャツを着た子どもたちがゆっくりとステージに集まってきた。
中央のマイクを囲んで歌いだした。
《今僕がここにいるのは、僕が自分で決めたこと。だからもう迷わずに生きてゆこう。夢を信じて》
歌の合間、一人の少女が語りを入れた。
「私たちは(東日本大)震災でお世話になった石川県へ足を運び、輪島市でもミュージカルの公演を行いました」
「今度は私たちが笑顔を届ける番です。歌うこと、踊れること、生きていること、伝えたい。『ありがとう』」
1月14日、宮城県内にあるホール。同県名取市の子どもたちによる「名取こどもミュージカル」が、オリジナルの「夢があるから」を歌い、能登半島地震の被災地へエールを送った。
津波にのまれた閖上地区
今から13年前。名取市閖上地区は、最大8メートルの大津波にのまれた。
流される車、家、人。住民の1割にあたる700人以上が犠牲になった。
同市の南部比呂志さん(55)の一家が暮らしていた借家は津波が通り、流れ着いた角材が家を壊した。
一家は約2カ月の避難生活を…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル