震災で壊れた噴水　ガラス10万点が生む「映え」の世界

　昭和のような、海外のような、不思議な雰囲気を醸し出すガラスのテーマパーク。中に入ると、「映え」の世界が広がっていた。

　木々が色づき始めた景勝地・厳美渓（げんびけい）に沿って歩いていると、突然、そこだけメルヘンな世界が広がっていた。先に進むと、オレンジや黄色、ピンクなどのステンドグラスが施された「噴水」が出迎えてくれた。

　ただ、水は出ない。「排水設備や電気関係も壊れてしまって……」とサハラガラスパーク取締役支配人の野村実さん（60）。9年前の東日本大震災で壊れ、そのままにしてあるという。

　独特の味わいのこの施設。国内外から集められた約10万点のガラス製品が展示・販売され、ガラス工房やカフェもある。ガラスの2次加工や販売を担った創業者が、世界を回って収集したものを見てもらおうと開館した。野村さんは「創業者が気に入った風景が園のモチーフとなっている」と話す。

　施設は1993年の「平成生まれ」だが、どこか昭和の香りが漂う。そんなレトロな雰囲気にひかれて、写真を撮りに訪れる人が増えている。SNSには「#サハラガラスパーク」があふれ、今年1月に投稿された写真には5万件を超える「いいね」が集まった。

　一番人気は赤や青、黄色の屋根や壁に囲まれた「ガラスの小道」。「それいいね、かわいい～」。女性4人がランプや鏡の前で歓声を上げながら写真や動画を撮っている。光が差し込むと、地面が色とりどりに染まった。

　生活と切っても切り離せないガ…

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