力丸祥子
東京電力福島第一原発事故による避難指示が約1年半前に一部で解除され、約100人が暮らす福島県双葉町で10日、犠牲者への追悼と復興への願いを込めたイベント「ただいま、おかえり 双葉まちキャンドルナイト」があった。
東日本大震災以来、支援活動を続ける一般社団法人「LOVE FOR NIPPON」が主催した。原発事故後、初めて町に人が住めるようになった2022年8月30日に開かれたイベントも支えた。
会場のJR双葉駅前には約1千本のキャンドルがともされた。キャンドルを入れるカップには「忘れない!あの日の事、涙した日々」や「双葉の明日に幸あれ」などのメッセージが添えられた。
避難先のいわき市から訪れた木幡千賀子さん(73)はカップに「ふるさと とわに あり」の文字と、解体した自宅からよく見えた山並みの絵を描いた。「双葉にいつでも帰ってこられるように、との願いを込めた」
郡山市に避難中の天野優紀さん(29)は「やっと人が町に集まれるようになってうれしいけれど、復興はまだまだ」と複雑な様子。母親は福島市、父親は双葉駅西側の町営住宅で暮らす。「事故がなければ双葉が帰る場所だった。自宅も取り壊し、地元に帰ってきたと思える家がない」と話した。
能登半島地震の被災地から招かれた石川県能登町の池田世志子さん(56)は自宅が被災し、中学校の体育館で避難生活を続けているという。「福島に来て、13年かかっても、少しずつ復興を進めることはできると前向きになれた。戻って能登の人たちに伝えたい」と話した。(力丸祥子)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル