新年に岩手県の沿岸各地を回って舞を披露する鵜鳥(うのとり)神楽が8日、普代村の鵜鳥神社で巡行始めにあたる「舞立ち」を行った。「権現様」と呼ばれる一対の獅子頭を連れた神楽衆が、笛や太鼓のお囃子(はやし)に合わせて頭を激しく揺らしたり回転したりして舞い、神楽を神社へ奉納した。
鵜鳥神楽は特定の地域にとどまらず、毎年年始に三陸沿岸の集落を訪ねて回る。青森県境に近い久慈市からラグビーで有名な県南の釜石市まで100キロ以上のルートを南北に分け、宮古市の黒森神楽と1年ごとに交互に巡る。東日本大震災後も巡行は途切れず、2015年には国が重要無形民俗文化財に指定した。
ただ、一昨年と昨年の巡行は新型コロナの影響で中止に。今年は感染対策を整え、ようやく再開した。舞立ちを見るため夫婦で訪れた久慈市の七十苅(しちじゅうがり)京子さん(75)は「鵜鳥神楽のお囃子はこの辺り一帯に染みついた土地の音。久しぶりに聞けて、身が引き締まる思いです」と話した。
今年巡行するのは久慈方面を巡る「北回り」で、釜石方面を訪ね歩く「南回り」の黒森神楽も3年ぶりに巡行している。7日は宮古市の末広町商店街で昼神楽があり、7演目を踊ったほか、権現様が地域住民の頭をかんで邪気を払って回った。(御船紗子)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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