根津弥、杉村和将、西晃奈
東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県の新しい津波浸水想定が今年出そろい、「最大級の津波」に襲われた場合、3県の公立小中学校93校(義務教育学校の小中1校を含む)と市町村役場18カ所が浸水するとみられていることが、朝日新聞の取材で分かった。震災後の想定より28校、13カ所増えた。東京電力福島第一原子力発電所周辺を除き、被災後のまちづくりが落ち着いた段階になって新たな対応を迫られる自治体が出ている。
新たな想定は、震災を教訓に、発生頻度は低いが甚大な被害をもたらす最大級の津波にも備えることをめざして2011年12月に施行された「津波防災地域づくり法」に基づく。想定は、防潮・防波堤も壊れることなどを前提として試算されている。津波被害が想定される40都道府県が作る必要があり、国土交通省によると9月末現在、東京都を除く39道府県が公表済みだ。
沿岸部が壊滅的な被害を受けた3県は、多くの市町村で震災の浸水実績に基づく想定のもと、復興工事や新たなハザードマップの作成を進めた。工事に一定の見通しがついた後、新想定の策定に着手した。19年の福島、22年の岩手、宮城で3県分が出そろった。岩手、宮城は国の日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震による津波予測の公表(20年4月)を待ち、検討が遅れた。
浸水面積は岩手100平方キロ、宮城391平方キロ、福島139平方キロ。震災時より岩手で1・7倍、宮城、福島で1・2倍上回る。宮城は県の面積の5%を超える計算になる。
朝日新聞が各県や試算対象に…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル