各地のペンキ屋が集い、ボランティアでペンキ塗りに取り組む「塗魂(とうこん)ペインターズ」が、9日から11日まで、福島県双葉町で活動する。ペンキを塗るのは、東日本大震災の遺構として保存される小学校の校舎。町の再生に役に立ちたいと、およそ200人の職人が集まる。
ペインターズは、2009年秋に結成された。いっしょにビジネスをしようと集まったことをきっかけに、ボランティアへと方向転換した。
これまで、幼稚園や学校、役所、公園などで180回をこえるボランティアをしてきた。「色がはげ落ちた壁や遊具などを塗り替えたいけれどお金がない」というSOSに、交通費や宿泊代も自腹で応えてきた。いま、全国に255社の会員がいる。
中でもこだわってきたのが、大地震や水害などに襲われた地域でのボランティアだ。
壊れたり流されたりした建物はガレキと化し、白黒の世界が広がる。そこに赤、青、黄色といった色を加えると、どんなに心が豊かになるだろう。そんな思いを込めて活動してきた。
今回ペンキを塗る双葉南小学校では地震後、多くの児童が荷物を置いたまま校庭に避難。その後、東京電力福島第一原発の事故で町内全域に避難指示が出された。
2022年に一部地域で避難指示が解かれ、住民の帰還が始まった。東北にいるペインターズの会員たちは、双葉町で何かできないか、町と話をしてきた。昨年、町議会は、同小を震災の遺構として活用させることを決めた。みんな、小学校を次の世代に残す力になろうぜ!
ボランティアでは、震災後、手をつけられていない校舎の外壁や天井などのペンキ塗りをする予定。双葉町教育委員会の吉津雄一郎係長は「全国からペンキ塗りのプロたちが来ていただけるなんて、ただただ、ありがたい」と話す。
前橋市でペンキ屋を経営するペインターズの会長、宮嶋祐介さんは「わたしたちが塗る幸せのペンキで、町の再生スタートをお手伝いします」と話している。(編集委員・中島隆)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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