ここに1枚の写真がある。
天井がはがれ落ちて、フロアの奥は埋もれているようだ。階段はあるが、寸断されているみたいで、他の階の状況はうかがい知れない。そんな室内の惨状を、ヘルメットをかぶった男性らが見渡している。
写真は、大阪市にある三菱UFJ銀行の書類保管庫の中で眠っていた。刻まれた撮影日は1995年1月19日。当時の行員の証言から、阪神・淡路大震災の2日後、三菱銀行兵庫支店の2階を写したものだとわかった。
兵庫支店は2日前の早朝に発生した阪神・淡路大震災で全壊した。泊まり込みの警備員が救助された後、無人となった店内には、現金や貸金庫内の貴重品、取引のデータがそのまま残されていた。
28年前のあの日、三菱銀行兵庫支店は震度7の揺れで建物が全壊しました。当時、支店で働いていた行員たちは、自らの被災と街の復興にどう向き合ったのでしょうか。証言でたどりました。
顧客の財産を守るためには、店内の貴重品を引きあげ、業務の再開に道筋をつける必要があった。しかし、余震が続き、店内はいつ崩落するかわからない。
いよいよ本格的に店内に足を…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル