鈴木優香
4月、福岡市南区で遺体を乗せた霊柩(れいきゅう)車が右折車との接触事故を起こした。
警察官に霊柩車の運転手の男(59)が免許証を示す。そのまま返されたが、男は焦っていた。
福岡地裁で28日、道路交通法違反(無免許運転)と偽造有印公文書行使の罪に問われた元葬儀会社員の男の裁判があり、地裁は懲役2年6カ月、執行猶予4年(求刑懲役2年6カ月)を言い渡した。
男が運転免許証を取得したのは19歳だった1983年。だがその5年後、一時停止や駐車違反、スピード違反などが重なり、運転免許が取り消された。以降、再取得はしていなかった。91年、2009年、17年の3回、無免許運転が発覚し執行猶予付きの有罪判決などを受けてきたが、35年間に及ぶ無免許運転に慣れ、運転を続けていたという。
そんな男が「免許証を手に入れなければ」と動いたのは18年ごろ。霊柩車を運転することになり、会社から免許証の提出を求められていたからだ。
困った男が頼ったのが、ネットで見つけた偽造の運転免許証を作るサイト。数万円を払って入手し、会社に提示していた。
男は「仕事が忙しく、自動車学校に行くお金もない」と本物の免許をとる意思はなかったが、偽免許証に書かれた免許の有効期限が切れると、再びネットに頼り、偽免許証を「更新」していた。偽免許証は、判決で「警察官も一見しただけでは見破れない」と評されるレベルだった。
福岡県警の捜査関係者は「偽造免許の入手元は明らかにできていない」と話す。(鈴木優香)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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