青山霊園から消えた旧華族の「無縁墓」 守る人のいない遺骨の漂流先

 国立競技場神宮球場から徒歩圏の立地にあり、六本木ヒルズを遠景に望む都立青山霊園(港区南青山)。敷地面積は約26ヘクタール(7万9千坪)あり、23区内で最も広い都立霊園だ。土地柄、使用料も最も高く、最低価格でも約450万円。1千万円を超える区画もある。

 明治7(1874)年に開園され、約1・7キロの桜並木は桜の名所としても知られる。大久保利通、乃木希典から吉田茂池田勇人志賀直哉国木田独歩……。霊園には各界の著名人を含む約12万人が眠る。桜を楽しむ人、犬の散歩をする人もおり、正門近くの管理事務所では有名人の墓所の地図も配られている。

墓じまい かつての藩主の家系も

 昨年4月、正門近くに新たに公園がもうけられた。園内でも一、二を争う約80坪の広さがあった元佐賀藩主の鍋島家の墓所の跡地だ。鍋島家の歴史博物館「徴古館」や都によると、東京での管理や墓参が困難になり、2015年末に墓じまいをし、佐賀市内に改葬したという。

 都立霊園で最も人気が高い青山霊園でも墓じまいが増えている。近くの石材店は「継承者がいないなど相談が増えている」と話す。

 都は墓じまいした墓所の整備などを進め、05年に地上にある納骨室と地下の共同埋葬室が一体化した立体埋蔵施設が完成した。

 施設はいっぱいで新規の募集はない。施設壁にある家名が刻まれたプレートを磨いていた67歳の男性は20倍を超える倍率で当たり、親族の遺骨を納骨した。「20年経つと、納骨室から地下の共同埋葬室に移されることになっているので、自分も入るか、どうかは迷っている」と語る。

明治維新の立役者や元首相、作家、旧華族らも眠る青山霊園。管理費を納める縁者のいない「無縁墓」が増えています。そうした遺骨はどこへ行くのか。記事の後半で明かされます。

 公園の奥へ歩いていくと、草…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment