静かだった沖縄本土復帰の日 米兵に夫を殺された妻はつぶやいた

 ベトナム戦争への従軍取材の経験もある報道写真家の石川文洋(ぶんよう)さん(84)は、1972年5月15日、復帰を果たした沖縄の当日を撮影して回った。その日の様子を「静寂」だったと振り返る。

 石川さんは那覇市首里の出身。祖母は沖縄戦を生き延びたが、祖父は戦死した。自身は4歳だった1942年に千葉県船橋市に家族とともに移住し、沖縄戦は経験していない。

 フリー記者として65~68年、南ベトナム・サイゴン(現ホーチミン)に住んで米軍などに従軍し、ベトナム戦争を取材。帰国後の69年、朝日新聞出版局の写真部で働き始めた。この年、日米首脳会談沖縄返還に合意。沖縄では復帰への期待が高まっていた。

 石川さんは「自分のルーツである沖縄はどうなるのか」と考え、復帰当日の沖縄の取材を計画。未明から深夜まで、沖縄本島各地の動きを追った。

 15日午前0時、那覇市の国…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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