西日本の南を北上した台風15号は、24日は東日本の太平洋側に接近しながら北東に進み、夜までには関東の東で温帯低気圧に変わる見込みだ。この影響で、24日朝までに愛知県や静岡県を中心に大雨が降った。
気象庁によると、24日午前6時時点で、御前崎の南南西約100キロの位置にあり、時速15キロの速さで北東に進んだ。中心気圧は1004ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は18メートル。東日本の太平洋側と北日本では25日にかけて、土砂災害や低い土地の浸水、河川の増水・氾濫(はんらん)に厳重な警戒が必要という。
また、気象庁は24日午前5時過ぎ、静岡県内で線状降水帯による非常に激しい雨が降り続いているとして、警戒を呼びかける情報を発表した。大雨が降り続いた静岡県内では深夜から被害が相次いだ。
24日午前0時50分ごろ、同県掛川市遊家(ゆけ)で土砂崩れが発生し、住宅1棟が倒壊したと119番通報があった。市消防本部によると、40代男性を救出したが心肺停止の状態という。
また、午前0時40分ごろには、同市高瀬のため池に乗用車が転落したと110番通報があった。県警掛川署によると、車内から男性1人を救出したが、搬送先の病院で死亡が確認された。同市内の全域に避難指示が出された。
一方、浜松市天竜区緑恵台では、24日午前0時ごろに土砂崩れが発生し、住宅3棟が巻き込まれた。県警天竜署によると、全員救出されたが、男性(63)、女性(40)の夫婦と息子(9)の家族3人がけがをしているという。
交通への影響も出た。23日夜、東海道新幹線は東京―新大阪で運転中止となった。東京駅では、東海道新幹線の乗客の一部は、ホームにJR東海が用意した新幹線の「列車ホテル」で体を休めた。
「休憩できる場所を用意してくれて、ありがたい」。24日午前1時ごろ、岡山県総社市の大学院生(23)は疲れた様子で、新幹線の中に入った。
23日夜、仙台市であった学会参加を終えて岡山に帰る途中、熱海駅で足止めされた。帰宅をあきらめ、在来線で東京駅まで戻ってきたという。「ホテルはお金がかかるので、休憩できる場所を探してここまで来た」と話した。
友人たちと東京都内へ芝居を見に来ていた静岡県湖西市の団体職員、太田智子さん(62)は、運転取りやめの発表が午後10時過ぎとなったことについて「もう少し早めに中止を決めてくれたらホテルを探せたのに……」と不満を漏らした。
台風の影響を考えて早めに帰路につこうと、午後6時半ごろから品川駅で発車を待っていたが、結局、新幹線は動かなかった。宿泊先を見つけることができず、新幹線に泊まることにしたという。
24日の運転状況も見通しが立たない中、山口県光市の男性会社員(29)は「できれば始発で山口に帰りたいが、どうなるのか」と気をもんだ様子で、一夜を過ごす新幹線の席を探し歩いていた。
24日朝になってJR東海は、台風15号による大雨の影響で、東海道新幹線は始発から正午ごろまで、東京―三島間と名古屋―新大阪間で折り返し運転を行うと発表した。山陽新幹線との直通運転は取りやめる。
また、24日正午ごろまでは「のぞみ」と「ひかり」はすべて運休。三島―名古屋以外の区間では、「こだま」は1時間に1~2本程度を運行する見通しだ。
天候が回復し、安全の確認が取れ次第、山陽新幹線との直通運転と三島―名古屋間の運転を順次再開するという。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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