リニア中央新幹線計画をめぐり、国土交通省は20日、大阪まで全線開業すれば、静岡県内は東海道新幹線の停車回数が1・5倍に増えるなどとする調査結果を公表した。南アルプスの環境問題などを理由に静岡工区の着工を拒む県側に対し、リニア開業のメリットを示すのが狙いだ。
需要予測は、品川―大阪間のリニア中央新幹線全線開業により、東海道新幹線の輸送量は約3割減ると想定。輸送力に生じる余力を活用し、静岡県内の新幹線駅計6駅の停車回数を現状の約1・5倍に増やせるとした。
現在、同県内に「のぞみ」は止まらず、静岡駅では「ひかり」と「こだま」の停車回数は1時間に計3本程度。リニア開業後はこれが5本に増え、12分に1本ほど停車するとした。名古屋開業時でも、停車回数は1・1~1・2倍に増える可能性があるという。
さらに、在来線への乗り継ぎなどの利便性も向上する結果、県外からの観光客や県内の新幹線利用者が増加。全線開業後10年間の経済波及効果は1679億円にのぼると試算した。
斉藤鉄夫国交相は「リニア開業は静岡県内や東海エリアにも大きな効果をもたらす。沿線に説明し、リニアの意義と効果について理解を得ていきたい」と述べた。
JR東海は「今回の調査結果も参考にしながら、将来に向けて便利なダイヤを検討していきたい」と話している。(細沢礼輝)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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