TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。4月24日(金)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、弁護士ドットコムGMで弁護士の田上嘉一さんが“テクノロジーを駆使した新たな監視社会”について述べました。
◆韓国は“監視”で新型コロナを制御
韓国では新型コロナウイルスの新規感染者が減少傾向にあります。ピーク時には900人を超える日もありましたが、保健当局者は「社会的距離を保つ取り組みに参加してくれた全国民に感謝する」と述べました。ただ、感染経路が不明の患者が依然として出ているとし、警戒を緩めないよう求めています。
現在、新型コロナウイルスは欧米を中心に感染拡大していますが、当初は中国から始まり、韓国でも感染者数が増加。しかし、それも徐々に縮小し、4月19日には一桁となり、「韓国は感染拡大をうまく抑えたと言われている」と田上さんは言います。
その背景には、さまざまな対策が施されましたが、その1つが「テクノロジーを駆使した監視」です。例えば「コロナ100m」というアプリがあり、これは感染者の位置情報が確認可能。保健所と連動し、感染者がどこにいたのか、さらには100m以内に入ってくると分かります。こういったアプリが数多くリリースされ、一時期は6つのアプリがランキングに入っていたこともあるとか。
また、韓国政府も感染者監視用のリストバンドを配布。これはGPSが付いており、アプリと連動。軽症患者が自宅から出ると警報が鳴り、政府の関係者が見に来る場合もあるそうです。
こういった取り組みは韓国だけでなく、タイや香港、台湾などでも行われ、「アジアを中心にアプリで監視していくというのが広がっている」と田上さん。一方、欧米諸国ではこれは人権、プライバシーの侵害だと言われ、実際にプライバシーを特定されたことで迫害にあった人もいると報告されています。
◆監視自体を監視する…新たな社会設計を!
現在は「ビッグデータ社会」と言われ、中国などでは信用情報の評価が低いとホテルやレストラン、電車にも乗れないところがあると田上さん。しかしその反面、評価が高いとローンが安く借りられるなどのメリットがあり「データと連動した監視社会が広がっている」と指摘します。
こうした監視社会をテーマにした小説や映画、アニメは数多くあります。なかでもジョージ・オーウェルの小説「1984」では“ビッグ・ブラザー”という独裁的で大きな存在が監視していましたが、今は「小さなサービスがたくさんあり、ビッグ・ブラザーではなく“リトル・ブラザー”になった」と田上さんは言います。
そこには危険な面もあるものの、「監視自体を監視するような体制を作っていくことで、うまくデータ社会と便利なところを補っていく」と語り、多くの学者も単一の政府が監視するのではなく、さまざまなサービスがあり、それを個人が選べるような社会設計をしていくことが必要と言っているそうです。
また、国会では大きなデータを抱えたデジタルプラットフォーマー企業に情報開示させることができる仕組み作りが行われていますが、田上さんは「情報の寡占化を防ぐということが非常に大事」と訴える一方、国家に対しても「市民団体やNGOが目を向け監視し、便利なところは使っていく、防災や感染病などの対応にも役立てる。うまく折り合いを付けていくことが必要だと思う」と話していました。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
Leave a Comment