韓流の時代劇で目にする伝統服の「ヌビ」。綿を入れた防寒用で、一針一針縫う手仕事のぬくもりがこもる。そんなヌビに魅せられた日本人の元中学教師が韓国で技を身につけ、里山に構えた工房で創作を続けている。隣国の伝統の技を伝える作品展が3月16日~19日、大阪府豊中市のギャラリーで開かれる。
兵庫県宝塚市大原野。「求里畝房」と漢字で彫られた木の看板が、訪問客を出迎える。工房の名前・求里畝(グリム)は絵画を意味する韓国語からとった。
韓国の農村部にあった「チョガチブ(わらぶき家)」を連想させる丸みを帯びた工房の内部は薪ストーブのおかげで暖かい。韓国から取り寄せた白地の布と、それを野草や木、畑で作った藍で染めた生地が並び、手作りのヌビが飾られている。
穏やかな空間で創作活動を続ける染色・ヌビ作家の中谷(なかや)省三さん(74)は長年、大阪府内の中学校で美術教師を務めた。三十余年前に宝塚の市街地から大原野の古民家に移り住み、退職後の2007年、自宅の敷地に工房を構えた。
教師時代、在日コリアンの生…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル