新型コロナウイルス感染拡大の影響で、全日本吹奏楽コンクールなど、小中高の子供たちが関わる複数の音楽イベントの中止が決まった。動揺し、ショックを受けている子供たちに、「コンクールを音楽の最終目標と思わないで」と先輩たちが呼びかけている。
「子供たちにかける言葉が見つからない」。地方大会で審査員を務める予定だった日本フィルハーモニー交響楽団の副首席トロンボーン奏者、岸良開城(きしらはるき)さん(53)は胸を痛める。自身も鹿児島県さつま町で過ごした中高時代、吹奏楽に熱中した経験があるからだ。
トロンボーンは中低音域が豊かな楽器だ。響きの要になれるのが「楽しくて仕方ない」というが、それ以上に音楽を続けてきて良かったと思うのは、「誰かの力になれたと思うとき」という。
東日本大震災後、日本フィルの被災地プロジェクトで、福島・南相馬の学校を定期的に訪れてきた。演奏に夢中になっている子供たちの前には、家族を失った過去も、不安ばかりの未来もなく、誰かと響きあい、命の感触を確かめる無限の「いま」だけがあると感じた。懸命にトランペットを吹いていた震災当時の小学生が今年、自身の出身校でもある国立音大に入学できたこともうれしかった。
もっと先の未来へ 絶対にやめないで
だからこそ、生徒たちには「絶…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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