極地から来た生き物に会える葛西臨海水族園(東京都江戸川区)には、「北極・南極の海」コーナーがある。
そこに「ボールドノトセン」という魚がいた。体長25センチほど。砂地の上にじっとしていたが、近づくと泳ぎ出し、くりくりの目でこちらを見ている。スズキ目に属するという。
飼育展示係繁殖班の小味(こみ)亮介班長のお勧めだ。聞くと小味さん自ら、5年前に南極海に潜って採集したという。当時5センチほどだった稚魚が成長したそうだ。
記者は1年3カ月、南極観測隊に同行取材し、2年前に帰国した。昭和基地で越冬中は仲間と海氷に穴を開けて釣りをした。小味さんに「ショウワギスやボウズハゲギスがよく釣れた」と話すと、「ボウズハゲギスはボールドノトセンです」と言われた。驚いた。南極で会っていたとは。
頭にウロコがなく、坊主頭のように丸いので、奇妙な和名がついたとされる。南極で見た時は白っぽい銀色だったが、ここにいる魚は色が濃い。「海氷の下だと白くなる。周囲の環境に合わせて変わるんです」と小味さん。確かに水槽の砂地の上だと見つけにくい。他の魚を攻撃する時は興奮して濃くなるそうだ。稚魚も白っぽい。
■水温0度、冷水で顔は痛く…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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