野崎智也、山本逸生
大阪府摂津市で8月、新村桜利斗(おりと)ちゃん(3)が死亡し、母親の交際相手の松原拓海(たくみ)容疑者(24)が殺人容疑で逮捕された事件で、4月に桜利斗ちゃんの頭にたんこぶが見つかり、マニュアル上は暴行を疑うべきなのに、市が推測で自分でぶつけた傷と判定していたことがわかった。5月には耳付近にあざも確認され、併せれば子への保護を強める措置が必要なケースに該当したとみられ、府の有識者部会は検証を進める。
市によると、職員による虐待のリスク判断には、府のアセスメントシートを用いる。
子どもの状況についての評価にあたっては「顔面・頭部への強い攻撃」「衰弱が起きている」「情緒的な問題が顕著である」など52項目から該当するものを選ぶ。それぞれの項目は内容によって「最重度」「重度」「中度」「軽度」のリスクに分類されている。
市などによると、今年4月28日、保育所の職員が桜利斗ちゃんの頭頂部にたんこぶを見つけた。市は母親に尋ねたが、「原因はわからない」との回答だったという。5月6日には母親から「松原容疑者が桜利斗ちゃんをたたいた」と相談があり、保育所が同11日に左耳付近にあざを確認した。
府のアセスメントシートの記入要領によると、たんこぶのような「原因不明の打撲傷」は、身体的虐待の疑いもありうるとみて、「重症度を判断」とされている。また「首から上における複数の打撲傷」は「最重度に該当する」との注記もある。
ただ、市は府と5月21日に開いた会議で、たんこぶについては「養育者の監護が不十分なため、けがが多い」とし、桜利斗ちゃんが自らぶつけたとの評価案を示し、府も了承した。あざもたんこぶとは関係がない単発のけがととらえ、「第三者からの身体的虐待の放置」と位置づけたという。
市幹部は取材に、昨年1月にも保育所が桜利斗ちゃんの頭にたんこぶを見つけ、母親が「目を離したすきに転んだと思う」と答えたことを踏まえたとし、「桜利斗ちゃんが自分でどこかにぶつけたのだろうと推測した」と説明した。
あざについては確認した翌日に市の担当者が松原容疑者と会い、暴力を振るわないよう指導したほか、母親が松原容疑者との同居を否定したことから、「児童虐待防止法上の保護者にあたらないと考え、保護者である母親のネグレクトと評価した」という。
こうした市の判断に対し、府…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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