「私たちの見た目は特徴的かもしれないけど、どこにでもいる普通の夫婦です」。11月22日の「いい夫婦の日」に合わせて、外見に症状がある人と、その配偶者10組を写した写真展が東京メトロ表参道駅で開かれ、注目を集めています。展示写真を見ていると、あることに気づきます。笑顔で写っていないのです。企画した写真家の宮本直孝さん(58)に、「笑顔のない写真」の狙いを尋ねました。写真展は24日まで。(朝日新聞記者・岩井建樹)
容姿とは 夫婦とは 愛とは
顔の変形やアザ、脱毛症、体毛や肌が白いアルビノ、唇や上あごが裂けて生まれる口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)など、外見に症状がある人たちを、宮本さんが撮影しました。こうした特徴がある外見は、恋愛や結婚のハードルになりがちです。
撮影のきっかけは、外見に症状がある人たちの記事を読み、興味を持ったことです。ただ、当事者を撮影するだけでは、見る人に「自分とは関係のない話だ」ととらえられてしまうと思ったそうです。
「どうすれば見る人に『自分ごと』として考えてもらえるかに頭を悩ませました。外見に症状がある人と、そのパートナーを撮影すれば、『容姿とは何か』『夫婦とは何か』『愛とは何か』という普遍的なテーマが立ち上がって、『自分の場合はどうだろうか』と考えてもらえるのではないかと思いつきました」
「この写真展の主役は、ある意味で外見に症状がないパートナーのほうです。彼ら・彼女らが外見に症状がある人をどうして選んだのか、私はそこに興味がありました」
テーマは「夫婦の感謝」
写真展のコンセプトは「夫婦の感謝」です。普段は恥ずかしくて言えなくても、「ありがとう」とお互いに心の中で思っている夫婦が多いのではないかと、宮本さんは考えます。
「ある夫婦を撮影したとき、はじめは表情が固かった。その日はたまたま、2人の結婚記念日でした。そこで『お互いの気持ちを出して下さい』と声をかけました。すると、外見に症状がある妻のほうが『こんな私と18年間ありがとう』と声をかけました。その瞬間、夫の表情がぐっと柔らかくなりました。この2人のやりとりを見て、この写真展のテーマを『夫婦の感謝』にしようと決めました」
【関連記事】
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
Leave a Comment