晴れた日に空高い所を飛行機が通過すると、飛行機雲ができる時があります。
この雲は、どのように発生しているのでしょうか。また、飛行機雲が長く残る時とすぐ消える時では、どのような違いがあるのでしょうか。
飛行機雲のできる仕組み
飛行機雲は、空に浮かぶ普通の雲と同じく、氷の粒が集まってできた雲です。この氷の粒がつくられるメカニズムは主に2通りあります。
1つめは、飛行機の排気ガスがもととなって生まれるもの。
排気ガスに含まれている水蒸気が極低温な外気に急激に冷やされて、水滴や氷の粒になるというもので、冬の寒い日に吐く息が白くなるのと同じ原理です。
排気ガスには水や氷の粒の核となる粒子も含まれていて、このことも飛行機雲を発生しやすくするために一役買っています。
2つめは、高速で移動する飛行機の後ろ側で気圧が下がることが引き金となって、氷の粒ができるもの。
高速で飛ぶ飛行機の翼の後ろやプロペラの先端などでは特に気圧が低くなります。気圧が下がると空気が膨張して冷却されるため、水蒸気が氷の粒へと変わるのです。
飛行機雲が長く残ると天気は…
氷の粒でできた飛行機雲は、空気が乾いているときは、すぐに周囲の空気と混ざって消えてしまいます。
逆に、飛行機雲が現れていつまでも消えないときは、上空の空気が湿っているということになります。
このことを応用して、「飛行機雲が長く出来ると雨が近い」や「飛行機雲がだんだん広がると、天気が崩れる」という観天望気があります。
低気圧が接近するときは、地上よりも上空高いところから、湿った空気に覆われ始めることが多いのです。そのため、上空高いところが湿ってきて、飛行機雲が長く残ると雨が近づいているサインととらえることができます。
一方、「飛行機雲がすぐに消えると晴れ」という観天望気もあります。
これは、高気圧に覆われて水蒸気も少なく、大気が安定していることを意味しています。つまり、晴天は続くだろうと予想できるのです。
航跡が見える消滅飛行機雲
また、珍しいもので消滅飛行機雲があります。
これは飛行機が雲を通過したあと、轍(わだち)のように雲のない線ができる現象です。
消滅飛行機雲が出た場合、上空の雲は消えやすい状態となっています。
最近は、外出自粛の影響もあり飛行機の便数も減っていますが、運良く晴れた日に上空を通過する飛行機を見ることができたら、ぜひ「飛行機雲」にも注目してみてください。
ウェザーニュース
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