新型コロナウイルスの集団感染を受け、運航を中断していた国内クルーズ船が次々と運航再開に動き出している。11月2日夕には、横浜港を母港とするクルーズ船「飛鳥Ⅱ」(総トン数5万444トン)が302日ぶりに商業運航を再開する。国内で感染が拡大した3月以降、同港に寄港する最初のクルーズ船となる。
2日朝。横浜市中区の横浜港・大さん橋に停泊中の「飛鳥Ⅱ」の船上には万国旗がはためき、ほうきやホースを持った作業員があわただしく手を動かして船を磨き上げていた。
周辺では観光客らがスマートフォンで「飛鳥Ⅱ」を撮影する姿もみられた。東京都杉並区の会社員佐藤綾さん(57)は「客船が港にいたので近づいて見に来ましたが、見ると乗ってみたくなります。(船旅の)再開をきっかけに世の中も早く元通りになって欲しいですね」と話した。
運航する郵船クルーズ(横浜市)によると、2日午後5時に横浜港を出た後、4日朝に清水港(静岡市)に入港。同日夕に出港し、5日朝に横浜港へ戻る3泊4日の航海だ。
飛鳥Ⅱは、昨年12月26日~今年1月5日に米領グアムやサイパンへのクルーズを実施。その後、最上階12デッキの展望大浴場に露天ぶろエリアを設けるなどの改装・改造工事に入った。そのさなか、横浜港に停泊していた「ダイヤモンド・プリンセス号」(総トン数11万5875トン)で集団感染が発生。3月以降、各地でクルーズ船の運航が中止され、郵船クルーズも世界一周クルーズなどを取りやめていた。
今回、商業運航を再開するにあたり、郵船クルーズは「考えられる最高レベルの安全対策をとった」(坂本深(ふかし)社長)。まずは「感染者の乗船を防ぐ」ことを徹底する。乗員は乗船前にPCR検査を2回以上受け、乗客も事前に自宅に届いた検査キットで唾液(だえき)によるPCR検査を受ける。そのうえで、乗船当日は受付で体調などに関する質問票を提出し、検温を受ける。
それでも感染者がすり抜ける可…
2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル