1年間に食べるお好み焼き、なんと300枚。それでも、「同じものを食べ続けている」という感覚はまったくない。
広島経済大(広島市安佐南区)の細井謙一さん(53)は、経営学部教授として教壇に立ちながら、大好きなお好み焼きの魅力を発信し続けている。
昨年12月、大学近くのお好み焼き店で、細井さんはこの年290枚目となるお好み焼きと向き合った。箸は使わず、へら一本でさくさくと食べ進めていく。
「これが広島の食べ方ですよ」と細井さん。使っている具材や作り方、新しくオープンした店の話。店主とのお好み焼き談義は止まらなかった。
「麺パリ派」と「ふわふわ派」
細井さんは神戸大大学院でマーケティングを専攻し、1995年に広島で大学教員になった。
お好み焼きに関心をもったのは2008年からだ。担当した社会人向けの講座で、地元のソースメーカーで働く受講生に誘われ、作り方をプロから教わった。
店ごとのこだわりの深さと、広島で独自の発展を遂げた食文化におもしろさを感じた。
「ある店では、天気をみて数秒単位で麺のゆで時間まで変える。お客さんに喜んでもらうための工夫を見つけるのが好き」。鉄板を挟んで店主からこだわりを聞くのが「至福のひととき」だ。
関西のお好み焼きは、具材を混ぜてから鉄板に移す「混ぜ焼き」が主流だ。一方、広島のお好み焼きは鉄板の上で層をつくっていく「重ね焼き」が特徴だ。
細井さんによると、広島の店は、麺を揚げ焼きにした「麺パリ」派と、具材を押し付けずにふっくら仕上げた「ふわふわ」派に大きく二分される。細井さん自身は「どっちも派」だ。
たとえおいしくないと感じるお好み焼きに出合ったときも、何が原因なのかを考えたい、と細井さん。
1年間に食べる枚数は2010年に100枚だったのが、16年には200枚と倍増し、18年にはとうとう300枚を突破した。
なぜ広島にお好み焼き店が…
お好み焼きは、料理としては客単価や回転率が決して高いとはいえない。その店が広島で広がったのはなぜか。細井さんは研究対象としても関心をもった。
安価でおなかがいっぱいにな…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル