福岡市南区と福岡県那珂川市でサルに人が襲われる被害が相次いでいる。食べ物を持たない人が狙われている例が目立つ。県警は見かけても近づかないよう呼びかける。
県警などによると、同区と那珂川市でのサルの目撃情報は、9月中旬ごろから増え始めた。今月も13日までに少なくとも6件が寄せられた。
7日、那珂川市西隈3丁目で、女子中学生の肩にサルが飛びかかり、服が破れた。9日には同市西隈1丁目で畑仕事をしていた女性が右腕を2カ所、背中を1カ所かまれ、市内の別の場所ではサルにつかまれた子どもが擦り傷を負った。
目撃されたサルは単独で出没し、体長は70~80センチだったと話す目撃者もいる。出没地域はいずれも油山(標高597メートル)の周辺にあたる。
那珂川市産業課の担当者によると、この地域ではサルの目撃情報は珍しくないが、人に危害を加える例は聞いたことがないという。人里で簡単においしいものが手に入ると覚えたサルが山をおりてくることはあるが、今回のサルは食べ物を持っていない人を狙っている。「目的は食べ物ではないのかもしれない。説明がつかない」と困惑した様子だ。
福岡市動物園で動物相談員を務める安河内清文さんによると、目撃されているのは、福岡・佐賀県境の脊振山系に生息するニホンザルの一種のホンドザルとみられる。脊振山系に近い油山一帯にも移動してくるようだ。
普段は群れで生活するホンドザルが単独で街に現れる理由として、①迷い込んだ②柿の木などのえさ場がある③若いオスが他の群れのメスを探している、といった可能性が考えられるという。ホンドザルの繁殖期は10月から翌年1月にかけて。この時期は興奮状態になっているという。
安河内さんは「走って逃げても追いつかれてしまう。たとえばバッグなどを盾のようにして身構えるとサルの攻撃を防げる」と話す。県警は、サルと目を合わせず、えさを与えないことが大事だとしている。(伊藤未来)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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