昔から、「梅干を食べると食あたりになりにくい」「弁当に梅干を入れると傷みにくい」と言われています。これは単なる言い伝えではなく、梅干には「制菌作用」があるということが科学的にも証明されているのです。 詳しいお話を、和歌山県立大学准教授で大阪河﨑リハビリテーション大学客員教授の宇都宮洋才先生(医学博士)に伺いました。
梅干の入ったご飯は腐敗しにくい
病院で行われる手術は長いもので10時間を超えますが、そうした長い手術を担当する先生方は、お昼ご飯が夕方や夜中になることも珍しくありません。ある時、長い間置きっぱなしのお昼ご飯に梅干が入っていると食べられるが、入っていないとご飯がネバネバして食べられない、という声を宇都宮先生が聞いたそうです。 「この現象は、梅干にはご飯の腐敗を防ぐ『制菌作用』があることを意味します。そこで試験管での実験で、わかりやすく証明しようと思ったのです」(宇都宮先生)
実験で証明された梅干の制菌作用
代表的な食中毒菌である「黄色ブドウ球菌(MRSA)」と「病原性大腸菌(O-157)」を入れた試験管を2本ずつ用意して、実験を行いました。 「それぞれ片方に梅干を入れて人間の体温と同じ37℃で一晩温めました。その結果、梅干の入っていない左の試験管は『黄色ブドウ球菌』、『病原性大腸菌』が大量に増殖して濁っていますが、梅干が入っている右の試験管は濁りが非常に少ないですね。梅干には食中毒の原因菌の増殖を防ぐ機能『制菌作用』があることが一目瞭然です」(宇都宮先生)
胃の働きが弱っている時には梅干を
「健康な人の胃は殺菌作用がある胃液を分泌しているため、食中毒は起こりにくいのです。しかし、体調を崩して胃酸の働きが弱まっている時は食中毒になりやすくなります。そんな時は梅干を食べて、クエン酸の強い殺菌力で発症を予防しましょう」(宇都宮先生) これから夏にかけて、食中毒が起こりやすくなります。梅干を積極的に食べたり、お弁当に入れるなど、「制菌作用」を活用して食中毒を予防しましょう。
ウェザーニュース
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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