コロナ禍による社会不安のなか、深刻になったドメスティックバイオレンス(DV)。体への暴力に限らず、心理的な攻撃、性的強要などを含む。対策の一つが、加害者がDVをやめるために受講するプログラムだ。「DVは病気ではなく、学習した思考と行動」という考えに基づく。暴力をやめるには何が必要なのか。
内閣府によると、2020年度のDVに関する相談件数は19万30件。コロナの感染拡大が始まる前の19年度(11万9276件)から1・6倍となった。
21年度(4~9月)も、20年度とあまり変わらない件数が続く。内閣府の担当者は「コロナ禍に伴う収入減や生活不安が、家庭内で弱い立場にある女性への暴力につながっている」と話す。
加害者プログラムを実施する全国の団体でつくる「DV加害者更生教育プログラム全国ネットワーク(PREP-Japan)」は昨年12月、オンラインの模擬体験として、こんな場面を公開した。
A:うちのパートナーは、ご飯が炊けたときにかき混ぜないんっすよ。空気を入れるとふっくらおいしくなるのにそれをしないんで、飯がまずくて仕方ないんすけど、そういうのってうちのパートナーだけっすよね?
B:だったらAさんがやればよかったんじゃないですか? 相手にやらせようと思うから腹が立つんじゃないかな。
C:僕は効率最優先なんです。そしてお菓子のレシピにもうるさいです。「調べたのになんでその指示通りにやらないんだ」と、何時間もパートナーを責めました。だいたいうちのは全てがおおまかなんですよ。
「こちらのルールに従うのが当然だと」
A、B、Cはいずれも加害者の男性。自分たちの経験や考え方を共有する「振り返り」をしているとの設定だ。
参加して1年半のAは、「晴…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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