まったく食に不案内だから、畏友(いゆう)の野口千恵さん(52)に電話をかけた。まちおこしの情報発信を手がけるKINAKO通信(和歌山市)の編集局長さんだ。「待っていました。まさにネギをしょったカモ。精進カキフライを食べにいこう」。カモとは失礼なと思いつつ、カキは「海のミルク」ともいって精がつくことぐらいは私でも知っている。そのカキの精進料理ってなんだ?
向かったのは和歌山市の歓楽街アロチにあるイタリア料理店イル・テアトロ。出てきた精進カキフライの見た目はカキフライそのものだった。サクサクだ。プリプリだ。
だが、店を営む神谷龍雄さん(52)と松井容子さん(53)の夫婦によると、中身は豆腐だという。水切り豆腐をペースト状にして青ノリを加えたあとにマイタケとシイタケではさむ。これらが一体となってカキそっくりの食感を奏でているのだった。菜園風ピザも食べおえて、「精進料理はものたりない」という私の先入観はすっかり消えた。
引き離される母牛と子牛の姿に
神谷さんがイタリア料理留学…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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