白見はる菜、富永鈴香
生活保護基準額の引き下げは、生存権を保障した憲法25条に違反する――。そんな訴えは、裁判所には届かなかった。14日の京都地裁判決は「厚生労働相には専門技術的かつ政策的な見地からの裁量権がある」などとして、減額決定の取り消しなどを求めた受給者らの請求を退けた。
「不当判決」。判決後、原告側弁護団が、地裁前で「不当判決」の紙を掲げると、待ち構えていた支援者らからは「ひどい」などと落胆する声が上がった。
京都市で弁護団が開いた集会で、尾藤広喜団長(73)は「厚労相の裁量を広く解釈しており、受給者の生活実態を全く見ていない」と批判した。
全国で起こされた同種訴訟のうち、受給者側の敗訴判決は名古屋、札幌、福岡の3地裁に続き4件目。原告の竹井登志郎(としろう)さん(50)=京都市山科区=は「ここもか、とがっかりした。長い間訴えた受給者の現状を見てほしかった」と肩を落とした。森絹子さん(79)=同=も「原告になるのは勇気が要った。皆が安心して生きられる世の中になってほしい」と嘆いた。
法廷で判決を聞いた原告の小松満雄さん(60)=京都市南区=は、集会で涙ながらに訴えた。「生活保護の金額で、裁判官が1、2カ月過ごしてみてほしい。そうしたら受給者の気持ちがわかるはずだ」
小松さんは手足にまひがある…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル